It's "C" time!!

ちふむ めしはしかやが気ままにつぶやきます。

9年前の3.11と今の時期。(3月に思ったこと)

 今、この時期だからこそ、9年前の出来事を振り返りたい。今の世間の雰囲気は、9年前にものすごく似ているからだ。

 私は当時学生だった。2011年3月11日金曜日。ちょうど期末試験も終了し、自宅でのんびり過ごしながら、今週末はどこかに出かけようかと考えていた。穏やかな日だった。

 突然、強い揺れが来た。これまでに経験していない、気持ち悪い横揺れがずっと続いた。本棚が目の前で倒れた。頭上に気を付けながらラジカセのスイッチをつけると、聞きなれないチャイムが鳴っていた。何かとんでもない、大変な事が起きたと感じた。

 程なくして、駅前のスーパーに外出していた母が戻ってきた。お互いの無事を確認し、冷静に行動した事を褒められたのは覚えている。その後はテレビをつけた。ずっとNHKを見ていた。津波、火災、原発―これまでに経験した事のない、衝撃的で悲惨なニュースが続いた。

 しばらくはずっと家にいた。ひたすら災害特番を見て、新聞を読んでいた。ライフラインが無事だったのは不幸中の幸いだった。土曜の未明に父が仕事先から歩いて帰ってきた。土曜朝の新聞の片隅に九州新幹線全線開業の記事があって、本当はこれが一面記事になる予定だったのかなと思いながら読んだ。日曜朝にTBSの「サンデーモーニング」のスタジオと出演者はそのままで災害特番をやっていた。テレ東でさえ災害特番をやっていた。会見で、当時の官房長官が汗水を垂らして説明と質疑応答をしていたのを見ていた。5日間くらいそういう日々が続いた。

 原発事故の影響で計画停電放射能の話が出てきた。放射能については、母がとても不安に思っていたのは忘れられない。普段はデマに流されることはなく、むしろそういう風潮を批判すらしていたはずの母が、放射能に不安を感じていたのはショックだった。引っ越す話も出たほどだ。最悪の場合故郷にいられないかもしれない、という不安は春休み中ずっとつきまとっていた。

 5日くらいして、ようやくYoutubeを見る気持ちが出てきた。何もできない中でせめて気晴らしだけでも、という気持ちだった。この頃の民放のCMはほとんどACのものばっかりだった。その中で「あいさつの魔法」というCMをネタにしたMAD動画があった。このCMは挨拶に関連して様々な動物が出てくるが、MADの方もそれに応じて様々な動物のバージョンが出てきた。私はそれらを一通り見た。辛い時期だったが、着眼点の良さと久しぶりの明るい内容の動画に心が救われた。

 プロ野球は開幕時期で揉めていた。パ・リーグは延期を決めたが、セ・リーグは通常通りの開幕を予定していた。しかし、選手会は開幕延期を主張していた。文科省計画停電の影響もあり「ナイター中止」を要請している。世間の反発の声も大きかった。セ・リーグは一旦は29日に開幕延期を決めた。「29日巨人戦開幕」のCMが流れていた事も覚えている。しかし、結局はパ・リーグと同じ4月12日の開幕となった。結果としては4月に開幕を延期したのは良かったと思っている。3月中は震災が日常を崩している中で野球をするようなムードではなかったし、野球ができるような日常に戻るには時間が必要だった。

 3月中は野球を含めてまだいろいろなイベントが中止になっていたが、4月になると日常の回復と共に自粛ももういいだろうという風潮になりつつあった。新学期も始まったし、被災地支援の動きも活発になっていった。私の学生生活も、毎日学校に行って勉強をする、という日常生活に戻っていった。

 今はコロナウイルスが日常を侵食しつつある。震災で日常が崩されて、時間と共に回復していったのとは逆に、今は時間と共に日常が崩されていく。震災から9年経ち、様々なものが復興していったが、今の世間の雰囲気は9年前にものすごく似ている。ならば、9年前の教訓が少しでも活用される事を望みたい。あの時程、「非日常」を感じた事はなかったからだ。